味と触感

柔らかくて美味しい、サクサクして美味しい、モチモチして美味しい、これらを外国語に訳すのはとても難しいです。

外国人にとって味と触感は別物です。柔らかい and 美味しい なら通じます。しかし、美味しい because 柔らかい は意味不明のようでした。私は会社員時代、外国人と仕事する期間が5年ぐらいありました。彼らと食事をするたびに、日本人にとって触感がとても重要であること、もっと言うと、触感が味に影響を与えることを痛感しました。外国人は触感と味は別で捉えているように感じました。

牛肉の炭火焼、最も高価な部位の一つにヒレがあります。しかし、肉屋さんなどの肉に詳しい人、肉をたくさん食べている人ほど、「ヒレは柔らかいけど味が薄い、ももの方が少し硬いけど味は濃い、外もものハバキという特に固いところが一番好き」と言ったりします。(ハバキは本当に硬くてお客様には怖くて出せません、苦情になりそうで・・・笑)

先日、ちょっとしたきっかけがあって、ヒレを仕入れてみました。試作がてら焼いてみて、妻と食べてみました。二人とも「柔らかくて美味しい」と言ってしまいました・笑。試しに3月の最終盤にお客様にお出ししました。何人かの方が「柔らかくて美味しい」と喜んでおられました。

ということで、牛肉はヒレも使ってみようと思います。ずっと、ももの真ん中の部位、”シンシン”の一辺倒だったので。シンシンはシンシンで肉の味がしっかりして私は大好きです。


空席

本日29(金)、年度末の金曜ですが、1組4名様程度まで空きがございます。レストラン難民の方、いかがですか?当日予約が入る前提で仕入してきました・笑

本日のメニュー

①クエのカルパッチョ、②蛤と白菜菜花のスープ、③1.5k超えノドグロ炙り、④朝採れ筍の自家製タリアテッレ、⑤毛蟹の自家製ピチ、⑥黒トリュフのお皿、⑦安城和牛、⑧雲丹とフォンドヴォーのリゾット、⑨グラススイーツ

屋号変更

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55627

現在はnagoya murata、旧名は魚介のイタリア料理murataです。店名から”魚介”と”イタリア料理”を外し、”nagoya”を加えました。

”イタリア料理”を外した理由は、昨年11月に名古屋前ちらし鮨 粋をオープンするにあたり、酢、醤油、味醂などの調味料に出合い、それらを使ってみたくなったからです。日本伝統の調味料を使いながら”イタリア料理”を名乗るのもどうかと、、、。一方で、リンク先のように、現地フランスのフランス料理店の料理人が醤油を使う時代でもあり、気にしなくてもいいかな、と思ったりもしたのですが、私の知る限りでは現地イタリアで醤油などを使ったレストランを知らないので、やっぱり外そうか、と。

”魚介”を外した理由は、そもそも新規オープンにあたり、”魚介”を付けた理由が、お店の個性とか差別化とかを意識してのことです。名古屋はイタリアンレストランがたくさんあり、少しでも屋号で特徴を出したいと思ってのことでした。

しかし、醤油などの日本の調味料とイタリアの調味料を使った、アミノ酸と核酸の相乗効果を狙った料理、で個性を出していこうと考える中で、さらに魚介に絞ってしまうと、ニッチにも程があるかな、と思いまして。また、肉は核酸に溢れていますので、相乗効果を考えると重要な食材になってくる、という点も大きいです。

※例えば、今月は”牛すじから取った出汁
(脂は取り除いています)と雲丹のリゾット”をご提供しております。

”nagoya”を付けた理由は、使い古された言葉ですが、地産地消。これだけ物流が発達しているので、北海道のものでも美味しいものは使いたい、と思います。ただ、これだけのネット社会でもまだまだ知られていない、名古屋近郊の美味しい食材、調味料はたくさんありますし、もっと見つけられそうなので。

上記の雲丹のリゾットの雲丹は北海道産です・笑。秋から春の雲丹だけは・・・。

あと、いわゆるフルボディの赤ワインに合うような魚介料理を諦めました・笑。10年間挑戦しましたが、私には無理でしたwww。やっぱり肉。。。

看板

昨日、お店の新しい看板が届きました。狙ったわけではありませんが、昨日で飲食店を始めて丸10年、今日から11年目に突入です。節目を迎えて、、、特別な感慨が、、、全くないですね・笑。毎日心を込めて仕込み、接遇です。

ただ、節目は振り返るにはいいタイミングと思います。昨年秋ぐらいからあれやこれやと考えていました。10年前は、とにかく手間のかかっても私たちがいいと思ったことは全てしていました。できていました。パスタの麺、出汁、その他もろもろ。というのも、週末のみの営業だからできていました。木曜、金曜に麺と出汁の準備、魚や野菜は営業前に仕込み。

4年半前に名古屋に移転して、営業が毎日になり、その辺りが徐々に手薄になってしまった感は否めません。また、食材を探す時間もなかなか取れず、毎月メニューは変えましたが、小手先の変更だった感も否めません。(その時々は精いっぱいのつもりだったのですが・・・)

昨年は、実は営業を休んだのは10日程度でした。年間です。とにかく口ではなく体を動かして、動かし続けて、効率が上がって、さぁ、そこで何を思うか、に興味がありました。そして、こう思いました。今一度、効率を考えないようにしよう、と。飲食店開業関係の本にはたいていこう書いてあります。仕込みは効率よく、接客は効率を考えない。接客はもちろん仕込みも効率を考えないことにしました。

いくら手間をかけてもお客様に伝わらなければ意味がない、という考えが私の頭を支配していましたが、そうではなく、私たちが考えうる全ての手間をかけて、その上で、お客様に伝える努力をしよう、と。

そこで、昨年秋に仕込み専任スタッフを一人雇いました。主に、麺、出汁、デザートの仕込みの中で機械的にできることをお願いしております。毎月のメニューも小手先の変更ではなく、しっかりアミノ酸と核酸の相乗効果が生まれるメニューを考えていきます。そして、ブログでいろいろお伝えしていきます。毎日やります←撤回・笑

1食1万円のコース料理、とても高いと思いますが、必ずやご満足いただけるよう、今まで以上に努めていきます。私たちは魚介、小麦、ワインが大好きです。その点を私たちなりに表現し、共感いただけるよう努めていきます。11年目も引き続きのご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

店名変更の経緯を記すつもりが、脱線してしまいました・笑。明日にしますね。

グルタミン酸とイノシン酸

化学の話になりますが、 グルタミン酸は、野菜や醤油などに含まれている旨み成分、 イノシン酸は主に肉類、魚類に含まれている旨み成分。そして、このイノシン酸、動物肉よりもむしろ魚肉に多く含まれます。

例えば煮干は、牛肉・豚肉の数倍のイノシン酸を含み、 アジやサンマも牛肉・豚肉の倍ほどのイノシン酸を含みます。 あと、日本でダシと言えばまず出てくるカツオ節、肉の数倍のイノシン酸を含んでおり、 イノシン酸のダシとしては最強です。

一方、自然な食べ物で最もグルタミン酸を豊富に含んでいるのは、昆布。 この昆布のグルタミン酸含有量は、 主に野菜の旨みと言われるグルタミン酸の中で最もグルタミン酸を多く含む野菜、トマトのおよそ16倍、もう圧倒的キング・オブ・ザ・グルタミン酸です。

もうひとつの旨み成分として知られるのは、グアニル酸。これは、シイタケの旨み成分として知られていますが、 グアニル酸を最も含む食材は乾燥シイタケ。ドライポルチーニも。

つまり、日本人は、外国人に比べてイノシン酸を含め、旨み成分が強いものばかりを食しています。

ところで、旨み成分は相乗効果があり、俗に言われるのは、グルタミン酸10に対してイノシン酸1で、人はとても美味しく感じるといいます。だからこそ、イノシン酸の旨みが強い食材を多々持っている和食は、 その10倍のグルタミン酸を求めて、一見グルタミンまみれ(笑)な傾向を持つのかもしれません。化学合成のグルタミン酸、味の素が日本で生まれたのは、ある意味当然です。

そして、醤油のグルタミン酸含有量は1.5%ほど、100g中何mgとかというレベルでなく、1500mg、とんでもないグルタミン酸の塊です。つまり、グルタミン酸最強調味料で味付けし、イノシン酸最強ダシによって旨みを付与しているのが、和食の基本です。和食の基本的な味の構成は、見事にグルタミン&イノシンの相乗効果です。

これだけでも、和食が洋食などと比較して旨みが強い味付けになっているのは間違ありません。ということで、日本人がいかに強い旨みを日常的に味わっている民俗かよくわかります。余談ですが、納豆を混ぜるとねばねばしてくるの、あれもグルタミン酸の塊。納豆のタレに「昆布ダシ」か「鰹ダシ」か。昆布ダシだと相乗効果は生まれませんので、普通納豆のタレはたいてい鰹ダシ。

一方で、イタリア料理はグルタミン酸の強そうな食材があります。イタリア人はトマトソースを良く使いますが、これもグルタミン酸。 あと、イタリアンでは比較的チーズをよく使いますが、これは昆布に次ぐグルタミン酸食品、あとアンチョビ。こうして見ると、イタリア人の旨み嗜好は、日本人に近そうです。イタリア人も日本人と並んで魚肉をよく食べます。魚肉には、ほかの肉よりも多くのイノシン酸を含んでいることは前述の通り。ということは、その10倍のグルタミン酸を求めて、トマト、チーズ、アンチョビなどでは足りない分のグルタミン酸を探し、組み合わせる必要があります。

そのあたりを今追いかけています。

日本人とイタリア人、その基本が他国よりも強いグルタミン酸嗜好なのではないのか? そのベースが昆布、醤油、塩辛などの日本、トマト、コラトゥーラ、チーズ、アンチョビなどのイタリア。

店名を今月から変えました。

nagoya murata

JAPANESE-ITALIAN

synergy

両者の相乗効果を研究していきます。

閑話

おはようございます。昨日まで26連勤の村田です・笑。今日も体調良好です。

最近、ブログを読んでくださっているお客様から、「体に気を付けて頑張ってください」とお気遣いいただいております。

クリスマス期間は特に気を遣っています。理由は、万が一体調崩して休業する際に、代わりのレストランを探して予約することが困難であろうからです。

そのために、通常の予防に加えて、外食しないようにしています。風邪の菌やウィルスには鈍感なお店(主に大手チェーン)も残念ながらあります。特に繁忙期となると、風邪では休ませてもらえない、という話も聞きます。

私は好きで連続営業していますし、そのために体調管理にベストを尽くしますが、体調崩したらすぐに休みます。お客様の翌日以降の大切なお時間を奪うようなことはしません。

繁忙期に工事ですか?

そうなんです。当店は小さなレストランなので、あまり繁忙期・閑散期がありません。工事関係者は、、、年の瀬過ぎて、人を掛けてくれています。

工事日程を決める際に、
「村田さん、定休日ないですよね?12月はいつ休みですか?」
「休まないんですよ~」
「………じゃぁ、、、朝イチから人掛けて夕方までに完成させますね」
「ありがとうございます!」
という感じでした・笑

少しだけ機能的になり、少しだけ格好良くなります。

店名

11月28日からずっと営業しておりますが、今のところ疲れを全く感じません・笑。毎日楽しく営業しております。12月30日まで、、、長そうで、きっとあっという間かなぁ、と。
今月は今年最後の月、必ずやご満足いただけるよう、微力を尽くしております。今月の一番人気は勢子蟹のパスタです。昨年までは2人で1杯使っておりましたが、今年は1人2杯です!下世話な話ですが、蟹だけで原価1,000円前後、それに加えて、あの小さな活きた蟹を茹でて、殻を割って、ひたすら身を取る作業、、、殻から出汁を取る作業、楽しく?やっています。自分のためにはできません、お客様のためならできます。(勢子蟹を出すお店に悪いお店はありません!←個人的意見、つまり偏見です)

さて、来月から店名を変更しようかなぁ、と思っています(さらっと重大発表)。


nagoya murata
~fusion of Japanese and Italian taste~


nagoya murata
~ WASHOKU – Italian ~
fusion

が候補です(何かいいアイデアある方、教えてください!)。
fusionが流行を後ろから追っているようで違和感があるのですが、combination,collaboration,mixでは、、、うーん、っていう感じです・笑

変更理由は、最近ちらし鮨店を開店したのですが、開店の過程で、たまり醤油、麹味噌、有機栽培真妻山葵など、とても魅力的な地元の食材に出合い、これらを取り入れた料理を作りたくなったからです。例えば、山葵とオリーブオイルのソース、たまり醤油と白バルサミコ酢と柑橘のポン酢など。1月にご提供予定です。1月はまだまだ空いている日がたくさんあります。ご予約お待ちしております。

ハーブティー

今月から、食後のお飲み物としまして、皆様に自家製ドライハーブティーをご用意させていただこうと思っております。農家さんからフレッシュハーブを仕入れ、私どもで天日干しにてドライハーブにして香りを高め、月替わりで数種類をブレンドいたします。食後のひとときにお楽しみいただければ嬉しいです。